ふたつ目の課題2 No.18
二回目の講評会
ふたつ目の課題の結末は、テッポウユリの課題と同じ様な流れになる。
内容は同じ様なものでも、繰り返しとなれば険悪なものになっていく。
僕の認識としては、この課題は僕の意思で制作したものではなく、教員達の指事に従ったものである。
そう主張しなければやりきれない程、酷い出来でもあった。
制作の過程がどうであろうと、講評会の場で僕が何と言っていようと、そんな話は誰も聞き入れず、僕の意思で身勝手に描いたものとして扱われる。
僕は、A先生(女子)から指示された内容や、僕側の考えや描き方なんかを述べるのだが。
「あなたは抽象画をやろうとしていますが、これはそういう課題ではありません」
「あなたの言っていることは、全てどうでもいいことです」
「見たものを見た通りに描いてください」
そんな噛み合わない返答ばかりで叱られ、やはり僕の語る話なんかは無視される。
その上で、やはりそのやり取りの直後には、A先生(女子)から「解らないことがあったら、遠慮をしないで研究室へ聞きに来なさい」というお決まりの言葉を被せてくる。
そうして研究室に聞きに行っても、こちらの質問ははぐらかすだけで答えない…そんな処まで、課題の制作が始まった時からの予想通りの結末を迎える。
この講評会で叱られている生徒は僕だけで、他の生徒達は「よく描けている」「今年の生徒はレベルが高い」等と誉められている。
講評会のなかで、僕は、K先生(女子)とA先生(女子)が誉める課題作品に対して
「蛍光灯の光の映り込みとか、影とか、みんな描いてますよね」
「やっぱり光や影は描くんじゃないですか?」
「これはどう考えるべきなのですか?」
等と質問をする。
そのことでも「こんな変な絵を描いているのは、あなただけじゃないですか!」と怒鳴り付けられ、顰蹙を買うばかりで、「研究室へ聞きに来なさい」という言葉で、僕の質問は打ち切られる。
講評会の後
講評会を終えた後、僕は教員達のいる研究室へ行き、課題の内容についてK先生から話を聞きたいと求める。
この時も、K先生(女子)を取り次いでくれることはなく、S先生とA先生(女子)が僕の対応をする。
僕はK先生(女子)から直接話を聞きたいと求めるが、K先生(女子)は僕のことをとても怒り嫌っているとのことで「K先生(女子)に質問するのは辞めなさい」と怒鳴られ、K先生(女子)へ質問を持ちかける行為を禁止される。
それから、教員達に質問を持ちかけるのではなく、まわりの生徒の様子を見て、それを真似して課題の制作を行うようにと指示を受ける。
僕は、その指示はおかしいと反論するが、それよりも、僕の制作する課題作品の方がずっとおかしいと責められ、「俺(教員)達だって暇じゃない」と会話を打ち切られる。
そんなやり取りに、僕は何ひとつ納得いかず、日を改めて、僕は何度も同じ質問をS先生に持ちかける。
そこでもS先生とA先生(女子)は、僕の質問を無視した内容で、こう説明してくる。
(このやり取りは、その時々で、A先生(女子)がいたりいなかたり、となっている。)
『教員達が、高木へ何かを教えようにも、高木の程度があまりに低すぎて、対応できない。
そこには、これまで高木へ指導してきた人達の程度が低い前提があって、その程度の低い指導を高木は信じているものだから、この大学の教員達が何を話しても会話にすらならないのだという。
この美術大学で絵を学ぶためには、これ迄に絵の指導をしてきた人達に力がなく、程度が低いことを受け入れなければならない。
高木はこの大学で一番劣っている生徒であるのだから、まわりの生徒の描き方を見て、真似するなどしながら必死に学べば、いつかは最低限の力も身に付くかもしれない。
高木はそういう存在で、教員達から説明を受けても理解なんか出来ないのだから、これからは教員達へ質問を持ち掛けることは止めるべきだ。
絵の描き方や、教員達の指導への疑問なんかも、教員達へ質問するのではなく、同級生達に聞け。
誰に聞いたとしても、高木より描けない生徒なんかいないから。』
この話に、僕は反論する。
『僕個人が、程度が低いと叱られるのは仕方ないと思う。
それでも、僕に絵を教えてきた人達は、程度の低い人たちではなかった。
そうやって会ったこともない人の事を悪く言って、僕を責め立てるS先生やA先生(女子)の考え方や教え方自体がおかしい。
程度が低いのは、そういうことをわかりもせずに語っている、S先生やA先生(女子)側ではないか。
少なくとも、この大学の教員達が指示してきあ内容は、僕に対しては適切ではなく、それを無視さえすれば、それなりのものを描いて提出することはできた。』
こんな反論をする僕の言葉を、S先生は怒鳴りながら打ち消してくる。
S先生
「お前はいつもそうやって屁理屈ばかり言ってくるけど、じゃあ次の課題で、どれだけ描けるのかやって見せてみろよ。
俺達は制作中に何も言わないから、その上で、高木が描いたもの対して色々と言ってやる。
それなら文句ないだろ!」
S先生が怒鳴り付けてきたこの話を、僕は「わかりました。そうしましょう。」といって、そのまま受けることとした。
この頃に、A先生(女子)が僕にかけてくる言葉も、下らないものばかりだった。
S先生と僕とのやり取りの端々で、
『高木君の言っていることは、何もかも間違っている(又は、全部勘違いだ)』
という言葉を挟んでくる。
この言葉に対して、はじめの内は僕側も
『授業内では、100人いたら100通りの考え方があってもいいと言っているのに、おかしいじゃないですか』
という返答をしていた。
それに対するA先生(女子)は、
『100通りの考えがあるのはいいことだけど、高木君の考えることに限っては、全て間違っている』
等と返してばかりくる。
僕の考えのどこが間違っているという内容の話ではなく、僕の考えや存在の全てを否定しかしない。
僕自体は、課題に絡んだ話をしているのに対して、A先生(女子)は僕を敵対視して勝ち負けでしか考えておらず、酷い言葉ばかりをぶつけて黙らせることしかしない。
そう僕はそう受けとり、僕はこの頃から、A先生(女子)と会話をすること自体を諦めていく。
後になって考えれば、S先生のやっていることも、根本的には一緒だった。
面倒くさい僕を大学から追い出そうと、圧力をかけているだけだ。