学生生活部長2 No.99
M先生のアトリエ
洋画のM先生のアトリエについて、M先生は自身のことや雑談ばかりをする。
M先生の話の区切りをみて、僕は本題に切り替えていく。
僕がM先生に語った話というのは、このブログで書き綴ってきた内容物と同じ性質のものだった。
しかし、M先生は僕の話を途中から聞こうとしなくなり、それでも僕が話を続けようとすると
『これ以上君の話を聞いてしまうと、俺は日本画の先生と喧嘩しなくてはならなくなる!』
といって怒り始める。
その事に、僕がどう言葉を返していこうか考えている時に、M先生はこんな内容の話を語り始める。
『M先生は、僕の話を最後まで聞かなくても、大体の内容は解ってしまったという。
M先生が以前に日本画のS先生と顔を合わせていた時に、S先生は「日本画にひとり、もの凄く頭のおかしい生徒がいるんだ」と、明らかに僕のことを語っていた。
それはその時だけの事ではないし、デザインや彫刻の教員達にも語り聞かせている場面も何度か見てきた。
恐らく、大学の教員達の殆どはこの話を知っているし、大学の外でも繋がりのある美術関係者には話しまわっているだろう。
話なんか聞かなくても、S先生を主にして、日本画の教員達が大人気ないことをしているのは知っているし、僕が語るであろうことも、その件かと想像はついていた。
本来なら、僕が今こうして動き出すよりも先に、学生生活部長という立場であった頃のM先生が、この問題に善処するべきだったことも、本当は理解している。
しかし、大学組織や絵画・芸術の業界での人間関係の都合が絡んでくる。
M先生が僕の件で善処しようと動いてしまうと、M先生はこの大学に居られなくなるだけではなく、芸術の世界でも生きていけなくなってしまう。
M先生には大学生の息子がいて、今は学費の工面で苦労している状態である。
いま日本画の教員達に目をつけられる行動を起こしてしまえば、最終的にはM先生や奥さんや息子など、自分の家族はみんなで首を括らなければならなくなる。
M先生の家族を助けると思って、ここは我慢してくれ。
M先生が学生生活部長という役職にあって、何の対応もしてこなかったことや、この場で僕と会話したこと等も、一切どこにも語らないで欲しい。
そうして貰えないと、俺達(M先生の家族)は首を括らなければならなくなる。』
数時間の会話のなかで、M先生が僕に語ってきたのはこんな内容だった。
このやり取りを経て、何度も考えてしまう事柄があった。
フレスコ画の課題の時、K先生(女子)から僕へ発した言葉。
「貴方に何かを教えたということが他の先生方に知られてしまうと、私の立場が悪くなってしまう」
この発言も、M先生の主張と同じ性質を持っているのではないか。
もうひとつ。
大学2年生の前期の頃、S先生から僕に怒鳴り付けてきた言葉で
「この大学を辞めようと卒業しようと、もう芸術なんかには関わって生きていけなくしてやる」
というものがあった。
この時のS先生の言葉や意思は、大学4年生になろうとしているこの時も、まだしっかり生きているということだ。