絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

新入生歓迎会2 No.45

 彫刻科の江崎さんと日本画の先輩であるDに質問責めされた後、その時の授業の兼ね合いから、日本画校舎のアトリエへ向かう。

 それから、廊下でS先生に声をかけられる。
「高木、お前は友達居ないのか?」
 突然そう聞かれると、僕は一度、この件の話を隠し誤魔化そうとした。

「友達は何人もいます。何でですか?」
 S先生は言葉を返す。
「昨日の歓迎会で、高木には友達がひとりも居ないと聞いた。」

 少しの間、どう誤魔化そうか考え迷うのだが、本当のことを話すことにした。
 この会話の5~10分前には、江崎さんとDから同じ様な内容で質問責めにされ、答えないことを徹底してきた。

 しかし、今度の相手は大学の教員であり、教員側にも職業上の責任や義務もあるのかもしれず、答えない訳にはいかないだろうと考え、話すことにした。

 

 事の始まりは入学した月で、K(女子)先生やS先生やA先生(女子)に対して行った僕側の質問と、その質問に対する先生達の返答が原因であったこと。

 そのやり取りを見てきた同級生(主に男子)達によって、『高木は程度の低い人間であるから、関わりたくない』と発言し、阻害されていく流れが出来てしまったこと。

 僕は大学での4年間を、絵だけに集中するつもりで入学してきた。

 それでも、絵を描く行為の邪魔をしてきたり、新入生の歓迎会等で、こうやって悪い話を広げたり、そんな話しに乗っかってしまう人達であるから、僕の優先順位から考えても、今後は彼等と仲良く出来ないであろうこと。

 そんな話を、僕はS先生に話した。

 そのS先生の返答は、

「そういうことか、わかった。俺は高木の味方だからな。」

 というものだった。

 

 それからその日の夕方にも、S先生から「もっと詳しく話を聞かせろ」と求められ、放課後に研究室で事情を説明した。

 話の途中からは、A先生(女子)もこのやりとりに加わっている。

 その内容は、これまでに書き綴ってきたものそのもので、僕の考えがまとまっていないことや、うまく説明できていないまま語っていることも多くあっただろう。

 その話のなかで~

 僕に好意を持っている女子生徒がが何人かいて、その状況から何人かの男子生徒は、妬いて悪意を強め、僕を遠ざけようと暴言や陰口や嫌がらせ等を行っている。

 この件には、そういった男女の微妙な感情も入り交じっている様にも思っている。

 この話をした時、S先生は「高木は思い込みが激しい(そんなわけないだろう)」と言って大笑いを始めていた。

 勿論、A先生(女子)も一緒になって笑っている。

 この件に関しても、僕自身はまじめに語っていたのだが、自分が何人かの女性に好かれているという話は、恥ずかしさや自惚れによる自身の愚かさを見せている様な気持ちがあり、強くそういうことなのだと主張することは出来なかった。

 話のなかには、そんなひと場面もあったけれど、基本的にはS先生もA先生(女子)も僕の味方であると語り、これからの指導を改めると約束してくれた。

 

 これ迄は、ずっと話が噛み合っていなかった教員達だけれど、こうやって話しあえれば、きちんとわかり合えるのだろうと受け取った。

 僕はS先生に対して、特別何かをしてもらう考えはないけれど、理解してもらえる人がいるということは嬉しく思えていた。

 僕はS先生を中心に、日本画の教員達のことを力なく信頼できない人だと思い、その分、絵をもっと頑張ろうと考えていた。

 でもこれ等は、S先生とA先生(女子)の社交辞令として、当たり障りのない返答をしていただけだった。

 S先生とA先生(女子)というのは、自分より上の立場の教員の動向を見て、それに上手く合わせてしまう人達である。

 他の日本画の教員達の動向といえば、新入生の歓迎会で、僕を馬鹿にして面白がっていた生徒や、それを黙って見過ごす大多数の生徒達の味方についていた。

 だからS先生とA先生(女子)に関しても、この場ではこういう返答はしていても、この直後からは敵対心を以て僕に接してくる。 

 その辺りの話は、次回以降に書き綴っていくことになる。