絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

竹籠と野菜の静物画3 No.21

批評への不満 

 前回の続きであり、課題提出後の話。

 S先生の話が「こういう風に描けばいい」だけで終わってしまったことに対して、僕は不満を持つ。

 それから「それだけですか?他に何か言えることはないのですか?」という問いかけの後、幾つかの話をする。

 

 これまでの課題で、僕はS先生やA先生(助詞)の指示に従って描いてきて、その上で、色んな叱りを受けてきた。

 これ迄に絵を教えてくれた人達を指して「程度が低い」等と語り出したり、「指示に従いなさい」と怒鳴り叫んだりもして、散々に圧力をかけてきた。

 そのことで、僕の生徒間の人間関係もメチャクチャになってきている。

 その流れのなかでS先生は怒鳴りながら「出来上がったものに対してなら、色々言ってやる。それなら文句無いだろ!」と言ってきた。

 僕側も、S先生から絵について何かを言ってもらうことを目標にして、描いた課題である。

 それ等を経て、ここで言われるのは『こういう風に描けばいい』だけというのは、納得できない。

 最初にK先生(女子)へ質問を持ちかけた処から、理解できない指示を受け、幾つかの提出物をメチャクチャにされた処まで、全てが無駄なやり取りだったということではないか。

 

 S先生は、僕の話など聞き入れたくない気持ちは強かったとは思う。

 それでも、僕から細かく言われなくても、S先生自身でこの状況はある程度は把握し理解もしていたと思っている。

 その上だからこそ、それを受け入れたくないからこそ、返答出来ずに困っていた。

 このやり取りをしていた研究室の入り口には、衝立てがあって、研究室のなかが見えなくなっている。

 その衝立ての向こうから、このやり取りを聞いていたA先生(男子)がやってきて「そんな細いことを言っていると、女にモテないぞ」と言ってくる。

 その言葉に合わせて、S先生も「そうだ。そんな細いことを言っていると、女にモテないぞ」と続き、これまでのやり取りを笑い話にして誤魔化そうとする。

 途中から口を出してきたA先生(男子)は、僕とS先生とのやり取りをどこから聞いていたのか、僕の置かれている状況をどこまで把握した上で、こんな発言を始めたのかも判らない。

 A先生(男子)とは、この場が大学へ入学して初めての会話である。

 でも、僕は大学入試の場面で、A先生(男子)と会話したことをよく覚えている。

 入試課題を制作していたとき、試験官をしていた生徒は僕の作品を指しながら「上手だ」とA先生(男子)へ語っていて、A先生(男子)はその生徒に「どんな風に描いているか、見ておきなさい」と述べていた。

 それから試験会場内で、A先生(男子)からも「上手だね」と話しかけられていた。

 この大学の入試には面接もあって、その場面でもA先生(男子)から「思うように描けた?」「もっと上の大学を目指したりしていないの?」等と話しかけられていた。

 その受験生がこの僕であったことなど、A先生(男子)は覚えていないのかも知れないけれど。

 実は覚えていて、僕の置かれている状況も理解した上で、ここでの発言をしていたのかも知れなかった。

 実際は、言葉に詰まっているS先生を助けようという意図だけで、A先生(男子)は発言していたのだろうが。

 A先生(男子)が登場してもしなくても、僕が求めている話をS先生がしてくれる様には見えない。

 その為に、このやり取りを笑い話で誤魔化され、打ち切られることも仕方ないと考え、その流れに従う。

 納得はいかなくても、僕がこれからどんな絵を描いていけるかこそ、大事なことだと考えようとしていた。

 

提出物の評価

 竹籠と野菜の静物画を提出し、次の課題の制作に取りかかっていた頃。

 A先生(女子)から提出した課題について、こう話かけられる。

「A先生(男子)が君の絵を一番いいと評価して、最高点がついたよ。

 これからも、あんな風に描いていげばいいんだからね。

 今まで変なのを描いてきて、高木君はおっちょこちょいだ。」

 こんな言葉をかけられても、僕はこの言葉を素直には喜べなかった。

 A先生(女子)が僕を指して語った「おっちょこちょい」は、はたして本音だろうか。

 今までの教員側の不手際を多少なりに自覚していて、それを隠し誤魔化すための方便としての「おっちょこちょい」という発言ではないだろうか。

 A先生(男子)が僕の絵を評価したという件も、これまでの出来事を相殺する意味合いでそう評価したのではないか。

 入試の時の件も含めて、僕の絵とA先生(男子)の評価という面で、相性が良かったという考えも出来はする。

 でもその辺りの真相は、僕の立場から判断することはできない。

 

 こんな終わり方で、今後の関係はマシになるだろうか、という不安が強く残る。

 因みに、僕の提出した課題に「最高点がついた」というやり取りを聞いた同級生達は、この言葉を受け入れなかった。

 同級生達の認識のなかでは、僕は大学入試をまぐれで通過した学校一番の下手くそであり、言うことも矛盾だらけで頭のおかしい奴(当時は実際に、そう責め立てられていた)である。

 そんな存在であるから、

 「高木が最高点をとったとか、そんなことは絶対にない」

 「意味不明な抽象画ばかり描いていれば、たまにそういうこともあるんだな」

 といった言葉が、この当時の同級生間では飛び交っている。