絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

退職した会社へ、未払いの残業代請求をすべきかの迷い No.138

残業代請求への迷い

 結果的なことから述べると、僕は退職してから暫くして、会社へ残業代の請求をした。

 その過程には色んな迷いがあり、踏み出すまでには時間はかかったし、踏み出してからも『こんなことを始めて良かったのだろうか?』という迷いや戸惑いも、暫くはついてまわった。

 それでも、全てを終えた今の僕の気持ちや考えから言えることは、踏み出して良かったと思っているし、良い人生経験にもなった。

 ネット検索などからこのページに来た人なら、もしかすると、当時の僕と同じ様な内容で迷っている人なのかもしれない。

 そういう部分で、少しでも何かの参考になっていれば、僕も頑張って記事を書いた甲斐になり、励みになるというものだ。

 

 当時の迷いとして大きかったものは、この3つだったと思う。

『弁護士費用、きちんと払っていけるだろうか』

『モラルや社会的な立場から、訴訟へ踏み切って良いものだろうか』

『店長という立場にあったなら、残業代は支払われなくても、仕方ないのではないか』

 考えた順序はこうなのだけど『モラルや社会的な立場…』という問題が、僕のなかでは1番の問題だったので、この話は語る順序を最後とする。

 

 弁護士費用、きちんと払っていけるだろうか

 会社を退職して、新しい住まいを借りて引っ越しをして、この辺りでも出費はかなりかさむ流れにある。

 この出費のかさんでいる時期に、弁護士さんに払う金額の相場が全くわからない。

 そういう部分で、最初から残業代請求を諦めてしまおうか、という意識も働いていた。

 

 細かく書いていくと、際限なく長くなりそうなので、細部の話は省いてしまう。

 もっと細かく知りたい場合は、また改めてネット検索をして欲しい。

 弁護士さんへの依頼に関しては、何種類も契約の形式があるらしい。

 そのなかで、近頃の残業代請求に関しては、完全報酬制というかたちを設けている弁護士事務所は多いようだ。

 残業代請求の案件に関しては、訴訟等へ発展していっても、かなりの割合で会社へ残業代を支払わせる結末に向かう。

 その為に、弁護士さんへの支払いは、全てが終わった時で良いという形式をとっている。

弁護士費用のことで迷って諦める機会を減らす為にも、近頃はこういう傾向にある。

 契約の種類や形式は、その弁護士事務所毎に作っていて、その弁護士事務所毎に細かな違いはあるそうだけど。

 最終的に支払うお金についてザックリいえば、契約の細部が違ったものであっても、最終的には大体同じ様な額に落ち着くのだという。

 弁護士さんに持っていかれる名目は、着手金、かかった経費、訴訟等で動いた日の日当、支払い額の何%か、それ等が基本的には弁護士さん側の取り分になる。

 

 こんなのが、当時の迷っていた僕の知りたかった情報だ。

 最初に弁護士さんへ支払うお金の心配をしなくても、未払いの残業代請求や、訴訟は行える。

 というわけで、残業代請求をやるならば、少しでも早くに決心して、動き出すことこそ大事だ。

 

 ↓下のリンクは、よく見かける弁護士事務所の広告やホームページである。

 弁護士さんへ依頼する直前まで、広告等で出てくるこういう弁護士事務所のことを、僕はかなり疑いながら見ていた。

 それでも、僕が頼ったのもこういう弁護士事務所だった。

 不安であれば不安が薄れるまで、ネット検索等して調べてみるとよいだろう。

 参考までに。

 

 ベリーベスト法律事務所

交通事故 労働問題 離婚 相続など弁護士相談はベリーベスト法律事務所|横浜オフィス

 弁護士法人・響

労働問題|取扱い業務・費用|弁護士法人・響

 このリンクは、ネットページからURLを引っ張ってきただけなので、このリンクへ跳ぶことで、僕にお金が入る訳ではない。

 

店長という立場にあったなら、残業代は支払われなくても、仕方ないのではないか

 退職する一年くらい前に、僕は店長になり、そのことで一万円の手当てがついていた。

 この一万円の手当てを貰っていたことで、僕は残業代請求を出来なくなっているのではないか?

 こういう迷いもあり、よく知らないまま諦めようともしていた。

 僕の件では一万円の手当てだったけれど、もう少し貰っていた人も、まだ諦めずに読み進めてほしい。

 

 会社によって、役職の権限や契約のあり方も違うので、一概には言えないけれど。

 店長とか役職者という立場よりも、大事なのは管理監督者であるか、という部分になる。

 管理監督者というのは、会社でもかなりの地位や権限を与えられた者であり、経営者と一体的な立場にある者にあり、管理・監督する職務にある存在のことを指す。

 勤務時間・拘束時間を会社を指定されていたり、店舗の人手不足分に対して、変わりに働く様な立場にあったりすると、管理監督社ではない可能性も高い。

 近頃の残業代請求の訴訟は、過去にあった、マクドナルドの店長が起こした残業代請求による訴訟の判決の影響が大きい、という話を聞く。

 そのマクドナルド店の店長は、管理監督者としての権限は与えられておらず、会社はその店長に対して、残業代を支払うという命令を下した。

管理監督者に関する日本マクドナルド事件判決とは? | 未払い賃金・残業代請求ネット相談室

 このマクドナルドの裁判を基準に、管理監督者であるのかないのか、という考え方が残業代訴訟の主流となっている。

 

 管理監督者については、こうだと明言できる文面はないので、ここでこうだと言いきることはできない。

 それでも、裁判所での判断には、それなりに判断する基準を持っている。

 店長としての手当てが、実際のサービス残業と釣り合わないくらいの額であったり、責任の所在のない『名ばかり店長』と言われる立場であったなら、残業代請求の出来る可能性は高いと思う。

 訴訟をやってでも、未払いの残業代を手にしたいと思うなら、ネットで情報を集めてみたり、弁護士さんへ相談してみる価値はあるだろう。

 

モラルや社会的な立場から、訴訟へ踏み切って良いものだろうか

 日本人の習慣や考え方の面からも、訴訟というのは大ごとだと思う。

 日本の行政としても、何かで不備があった時には、極力は勧告程度で納めようとする流れもあるので、国民の意識的にも、大体のことで訴訟まで踏み込む場面は少ない。

 こう書いている僕の認識も、昭和時代を基準にした過去の考え方なのかもしれない。

 日本のこういう流れや考え方に対して、例えばアメリカは裁判大国だ、なんて話を昔はよく聞いた。

 訴訟をビジネスのひとつとして考えている人もいるとも聞く。

 僕は、そこまでのこととは考えてはいないけれど、日本はもう少し、訴訟のことを前向きに考えるべきではないかと思う。

 特に、ブラック企業の従業員への扱いや待遇というのは、多くの従業員は請求や訴訟まではしないという前提で、個人の利益を搾取している訳である。

 利益の少ない会社であれば、会社が生き残り、従業員の生活を維持する為、そうせざるを得ないと判断している処もあるだろう。

 昔はそういう会社も多かったけれど、今は会社や経営者の利益をより多く確保する為、従業員をいかに多く働かせながら、給与をどう抑えるかと考える会社も多い。

 

 昭和時代の前半では、終身雇用制度を基本と考えた会社は多く、その前提で、会社は従業員を雇い入れ、教育して育て守ろうとした。

 平成時代になってから。

 前以て専門の技術を持った即戦力となる人材ばかりを、会社の都合の良い期間だけ雇い入れて、不要になったら解雇できる体制が進む。

 法整備・派遣法なども合わさり、終身雇用制のあり方も変わり崩れても行く。

 昔の大きい会社では、窓際族と呼ばれた人達もいた。

 仕事が出来ないもので、窓際に追いやられ、会社でも相手にされなくなった人達を指していた。

 でも今の時代、そういう人達は、窓際に追いやられる前に解雇となる。

 何にでも『自己責任』という言葉を当てはめ、会社は会社の利益ばかりを考え、会社は従業員を守らない時代となった。

 それを殆どの人が当たり前に考え、その上で働いている。

 会社が従業員を守らないのは、本来は会社の弱みであるのに、殆どの従業員側が自分等の弱みと認識している。

 

 今も昔も、会社と一言で言っても、良い会社もあれば悪い会社もある。

 だから、一概には語れない事ばかりだけど。

 経営の神様などと語られる、松下電器の創設者の松下幸之助は、生前にこう語っていた。

“なあ、ワシはこう思うんや。企業の都合で解雇したり採ったりでは、社員は働きながら不安を覚える。松下という会社は、ええときはどんどん人を採用して、スワッというとき、社員を整理してしまうのか。大をなそうという松下としては、それは耐えられんことや。曇る日照る日や。一人といえども辞めさせたらあかん。ええか、一人も解雇したらあかん!”

「一人も解雇するな、一円も給料を下げるな」 | 松下幸之助の珠玉の言葉 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 こういう考えや思いを持った会社で働いて、サービス残業も納得したり自身の意思でやっている人も居るかもしれない。

 そういう処で、想定外や仕方のないことで退職した人に対して迄、僕は未払いの残業代請求を勧めている訳ではない。

 会社の都合の良い様に使い捨てにされ、本来ならば貰える筈なのに搾取されたサービス残業に対して、行動を起こすかでまだ迷っている人 (当時の自分)に伝えたいことを、僕はいま書いている。

 会社の都合に振り回され、苦労した末に退職して、その後の苦労さえも、結局は『自己責任』で片付けられる。

 同時に、都合よく従業員を使い捨てにしたその会社側も、労働搾取して得をしてきた事に対し、残業代請求や訴訟を起こされて困ることも、自己責任であり自業自得であり、その上でもまだ会社は搾取で得をした状態にあるのだ。

 会社が不当に利益を搾取して、そこに黙って去ることまでも、社会通念上のもので仕方ないと考えていないだろうか。

 そういう部分で迷い、決断を遅らせていないだろうか。

 これはそういうものではなく、労働者の権利の問題であり、権利を主張するか放棄するか、という話になる。

 

 権利というのは、まわりが動いて守っもらえるものではない。

 権利というのは、主張することで、初めてその効果を発揮するものだ。

 働いていた時に、色んな状況から仕方ないと諦めていたサービス残業でも、退職した後から主張すれば、支払って貰える可能性はかなり高まる、ということだ。

 その未払いの残業代を得る権利は、働いた者にあるけれど、時効もあり、働いた月から2年後に消滅していく。

 迷って判断を遅らせていけば、その期間分の残業代は時効を迎えて消滅していく。