アメブロの後の話2 No.136
新店舗の状況
入社当初、僕も一緒にオープニングスタッフとして働く筈だった店舗の話。
その店舗が新規オープンして、従業員達は、入社した数か月後から会社と慢性的にトラブルを起こす。
その内容も、僕の所属していた旧店舗と同様に、会社幹部のいい加減さや労働基準法違反の待遇に、従業員達は皆で怒っていた。
旧店舗との違いがあるとすれば、新店舗の従業員達は、皆が同じ時期に入社してきたもので、不満を皆で共有し結束していたことだろう。
その従業員達の不満と結束に、Y店長は対処しきれず、オープンした店舗の売上も見こんでいた額には届かず、いつも1番のトラブルを抱える店舗となった。
会社としても、新店舗の従業員のやる気のなさをどうにかしようと、社長の指示でS本部長がよく新店舗へ行っていた。
このS本部長は、従業員達を会社や自分の都合に従わせる為、いつも高圧的な態度で接することとなる。
それが逆効果であるのに、そういう対処しか出来ずにいた。
こういう不当な内容を、恫喝したり圧力をかけて従わせる組織というのは、その組織の維持も長くは出来ないという。
高圧的に従わせて作られた組織の維持は、長くもっても5~6年くらいだろう、なんて話も、ビジネス書関係では語られている。
僕の在籍した旧店舗も、従業員間の衝突を何度も繰り返したり、従業員が定着しなかったり、誰かが労働基準監督所へ動いて貰うように動いたりで、色んなトラブルを起こしていた。
そういう過去を思い返すと、この話も納得してしまう。
新店舗での連日のトラブルと、一般従業員の殆どが退職したことで、Y店長(この頃は本部長であった)は責任をとらされ、新店舗の職務を解任される。
その後、退職するかカラオケ店へ移動するかの選択を迫られ、カラオケ店へ移動してくることとなった。
こういう事柄を後になって振り返ると、全てが必然的に流れていた事柄の様に思えてくる。
色々と細かな話を省いている兼ね合いから、色んな状況の説明は不足しているのだが。
この時期の役職者のうち、何人かの役職は変わっている。
S本部長は常務へ。
Y店長は本部長へ。
社長の次男であるSは課長へ。
それから、僕は店長になるのを拒んでいるので、扱いは一般従業員のままでありながら、本社会議へ出席させられることとなる。
そして、一度は退職したS専務は職場復帰し、役職は退職したときと同じ専務となる。
変われないカラオケ店
パチンコの新店舗からカラオケ店へ移動してきたY本部長は、基本的には事務所で過ごす。
役割としては、カラオケ店の売上を伸ば企画などを考えて指示を出す、という話で移動してきた。
社長からも
『カラオケ店なんか暇で、やることなんか何もない』
『現場での作業は、忙しい時に配膳と皿洗いだけしたらいい』
等と聞かされていた様子で、Y本部長もその気になっていた。
僕の退職問題はあえて触れず、僕の休憩や休日の問題も無視したまま『高木はY本部長の指示に従って働きなさい』という業務上の命令が下る。
Y本部長は飲食店で働いたことはなく、このカラオケ店でも現場の作業は殆どしないつもりでいる。
そんな立場で、現場の状況を把握していないいまま、仕事上の指示を出してくる。
現場の実情を踏まえていない指示や、現場を軽視して見下しバカにした指示に、僕は怒り、意見し、指示を拒否したりもしていく。
仮に、そのY本部長の指示に従うにしても、僕には幾つも仕事を抱えていて、どうしても勤務時間を終えた以降にその仕事に手をつける流れになる。
そこを配慮して何かをしたり、その状況を変えようともしない。
僕が休憩もなく、週末で連日16時間前後の勤務をしているのを知りつつ、Y本部長は事務所で酒を飲み、持ち運びできるゲーム機で遊びながら、パソコンに向かって何かを打ち込んでいる。
なにか仕事をしているであろうことはわかるけれど、誰からも遊んでいる様にしか見えず、8~9時間くらいの勤務で帰っていく。
(それ以上、店舗にいられても腹立たしいだけなのだが)
Y本部長の働き方に加え、S専務が再びカラオケ店へやってきて、また面倒なことを切り出してくる。
まず最初は、カラオケ店の損益関係の記録をまとめてたレポートを、S専務に提出する様に求められる。
その後、経費で切り詰められる処の洗い出しを求められるが、S専務が一度退職した時期、よりも経費を切り詰めている、ほかに切り詰める処は思い付かない、という内容のレポートも提出する。
そして、過去にS専務が僕に求めたきた通りに、僕は毎月、ある程度の自腹負担をしていることも伝える。
それならばアルバイトの人件費を削減しろ、という指示を出され、僕は拒否する。
このやり取りは、S専務も僕も、最初からずっと喧嘩腰でやっている。
人件費の問題に関しては数ヵ月前に、僕は社長へ直接話しかけ『人件費を増やしてもよい』という許可を貰い、その上で動いていた。
目的は、僕が楽をしたり休憩をとったりする為ではなく、売上を伸ばす前の準備である。
カラオケ店の色んな体制が整ってきたといっても、まだワンオペで店をまわしている時間帯は結構あった。
まずは、店舗の作業をそれなりに把握した従業員を育てて配置し、平日でも忙しくなる可能性のある時間帯でのワンオペをなくそうとしていた。
それが完了してから、顧客をカラオケ店へ来て貰おうと、イベントやクーポン券の配布などを計画していた。
こういう話をすると、この会社の幹部達は、従業員を揃えるより先に顧客を呼び込もうとする。
そうなると、せっかく顧客が多く来ても、その顧客への対応がしっかり出来ず、悪いイメージばかりを持たれ、リピートに繋がらない。
だから、直接の上司であるS専務やS常務に話を持っていかず、社長へ直接の話を持っていったのだ。
会社は人件費に対して、いつもケチってしまう傾向があるので、いきなり多くの人を雇ったりは出来ない。
その兼ね合いもあって、少し従業員を増やして売上を伸ばした実績を作り、また従業員を増やして売上をのばす、ということを繰返していこうとしていた。
その準備として新人を雇い、従業員教育をしている過程で、Y本部長がカラオケ店へ移動してきた。
そして、『これからはY本部長の指示に従いなさい』という命令が下り、僕のやろうとしていたことは無視され、『人件費を削減しなさい』という命令を出されている。
これを説明していても、S専務は話を聞いては貰えない。
『それならば、俺のとれていない休みや休憩時間はどうしてくれるんだ!』
という話をして、僕はS専務に詰め寄る。
それでS専務は黙り、少しの間、僕の前には現れなくなる。
そうして、S専務はY本部長と2人だけで会話をして、カラオケ店の人件費の削減を決める。
僕は『そういう決定をするならば、俺はこれ以上は退職をのばさない。退職する。』と宣言し、『高木が退職するならば、カラオケ店の人員は、もう少し増やす。』という判断で決定する。
年末年始という、一年で一番忙しい時期までは居るので、それ迄にカラオケ店の引き継ぎ関係をきちんとして、その引き継ぎをする者に、年末年始の営業を経験させて欲しい。
そういうお願いを、僕はS専務に行った。
僕のこの退職の宣言に、S専務は喜んでいた。
S専務は、カラオケ店の面倒なことへ一切手をつけないまま、自身の思うようにカラオケ店を動かしたがっていた。
そこへいつも反発する高木が邪魔ではあったが、高木を辞めさせると、カラオケ店の店長業務をやる人物はいなくなる。
(他のパチンコ従業員へやらせようと誘っても、彼等は『それならば会社を辞める』と言って拒絶する。)
しかし、この頃にはY本部長がカラオケ店にいる。
だから、高木が退職した後にこそ、Y本部長へやってみたいことを指示することとした。
S専務やS常務も、よく『飲食店の経営なんか、馬鹿でも出来る』とか『客なんかいなくて暇なんだから、やることなんか何もない』等と口にしていた程である。
『あんな馬鹿な高木が、いきなりカラオケ店へ行かせても上手くやれてしまう。
カラオケ店なんか、その程度の仕事なんだ。』
こんな話が、会社では幹部達を中心に語られ、Y本部長もその気になっている。
その為に、引き継ぎ問題は何もしないでも平気と考え、最後まで『引き継ぎは○○にさせる予定だ』等と言い逃れをする。
そうして、誰にも引き継ぎをさせず、僕も年末年始やその準備や後始末の忙しさにかまけたまま、退職時期を迎えてしまう。