そぼろくん 2
そぼろくんと仲良くなれたのは、当時勤めていたカラオケ居酒屋店の駐車場です。
最初は、近場のコンビニでゴミを漁ろうとしているそぼろくんを見つけ、猫好きな僕は話しかけましたが、すぐ逃げられました。
それから数日後、勤めているお店の駐車場でそぼろくんを見つけます。
数メートルくらいのところまで近付いて話しかけました。
最初だけはハーッ!と威嚇してきましたが、その数秒後には、ゆっくり近づいてきて、少し撫でるとすり寄ってくるようになりました。
最初に威嚇してきたのは、きっと恐かったのです。
でも、人と仲良くしたい気持ちも強かったのでしょう。
接してみると、とても甘えん坊な猫だとわかりました。
駐車場で接してから、そぼろくんは毎日お店に来るようになりました。
そぼろくんは全く人見知りもせず、お店の従業員みんなから好かれました。
お店に来るお客さん達には、猫好きな人も多かったようで、そぼろくんのいた頃は来客数も少し伸びていた気もします。
時々耳にしている話で、生まれてからずっと野良猫として育った猫は、もう人にはなつかないといいます。
むかし、そんな野良猫が骨折しているのを見つけ、治療してご飯を与えていた人がいました。
その助けられた野良猫は、助けた人に気を許して体を触らせたりはしますが、甘える仕草は一度も見かけませんでした。
そういう人と野良猫の関係を見てきただけに、そぼろくんは人に接してきた経験もあることは見てとれます。
どういった事情があったのかは解りませんが、少しのあいだ人との係わりはなくなり、それからは野良猫として頑張って生きてきたのでしょう。