小説『銀河英雄伝説』本編10巻読破
十代の頃から興味を持ちながら、ずっと手付かずになっていた小説の銀河英雄伝説、本編の全10巻を読み終えることができました。
少しずつチビチビ読み進めていたり、生活の変化もあったわけで、非常に時間がかかりました(^_^;)
僕としては、銀河英雄伝説は登場人物が多く、その辺りで苦労しました。
銀河英雄伝説の物語の中心は、専制政治国家と民主政治国家との戦争です。
帝国に生まれ、理不尽に搾取される生活から「宇宙を奪いとってみせる」と決心し、権力を伸ばしていくラインハルト。
逆に、自由惑星同盟(民主国家)で、望まないまま軍人になり、不本意なまま英雄になっていくヤン・ウェンリー。
この二人を軸にして、戦争や政治を語られていきます。
全10巻という文章量は、読む前は多いと考えていました。
しかし、読んでみると、記述の足りない様に思える事柄や、展開を急いでいる様に思える場面も多々あります。
例えば、帝国軍にラングという少し気持ち悪い人物がいます。
直接戦争をする将校ではなく政治家の様な立場で、主には社会の裏で諜報的な活動をします。
そのラングの登場時の経歴説明では、とても有能な存在で、銀河英雄伝説の世界観を感じるのに大切ではありました。
それなのに、具体的に物語のなかで動き出すと、幼稚で我儘な小心者でしかありませんでした。
もっと暗躍していく存在と期待していたのに、僕としてはガッカリした人物です。
その他、帝国軍のなかである人物の裏切りもあり、その辺りも面白く読みました。
その裏切りも、物語の早い段階から少しずつ兆候があり、最後の方でようやく始まります。
随分と待たせた割りに、少し内容や状況設定は薄くないだろうか、物語の進展の為に大事な処なのだから、もっと記述していけばよかったのではないか、等と感じたりしました。
その辺りを考えると、全10巻では描ききれていない物語であり、外伝まで出てくるのは必然なのでしょう。
こういう批判は、読んだからこそ言えることであり、読んだ後の楽しみ方のひとつでもあります。
この小説に手を出す前、僕はインターネットで銀河英雄伝説の評判を検索しました。
良いと評判する人は、「今まで読んだ小説のなかで1番」という人もいました。
逆に、酷評も沢山ありました。
例えば「ラインハルトやヤン・ウェンリーが優秀なのではなく、他の将校達が無能なだけ」といったもの。
そういったなかで、僕は楽しく読みましたし、読んで良かったと思っています。
政治や戦争や兵器や戦略など、そういうものに興味を持って情報収集している人であれば、銀河英雄伝説の語っている内容は薄く感じたりもするでしょう。
それでも、30年も前にそういうものを小説として出版し、今も支持を受けている作品です。
僕は高評価します。
思えば、過去の職場とかで頭が良い人を演じて(実際には良くはない)あまり体を動かした働きを避ける感じのオタク系の上司達が何人か思い当たるのですが、彼等はヤン・ウェンリーの様な立場を演じていたのだろうな、などと感じてしまいましたf(^^;