絵と猫とぐだぐだ ~髙木元就

雑記ブログです。趣味で絵を描いています。漫画やイラストなども含めて、幅広く絵の好きな人に読んで貰いたいです。

山芋の短冊

 唐突な語り出しかもしれませんが。

 山芋と長芋の違いを、判断出来ますか?

 こういう話を振っている僕は、最近まで判断できませんでした。

 ネットページから少し引用します。

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引用:http://www.1242.com/lf/articles/140658/?cat=gourmet,life&feat=chiba

■「自然薯」は「山芋」に含まれる
そもそも山芋とは、「ヤマノイモ科」に属しているイモの総称とのこと。特に日本原産のものを示し、「自然薯」も山芋の分類に入るそうです。

(中略)
■「長芋」は外来種と考えられている
対して長芋は、主に中国などから渡ってきた外来種であったと考えられています。
とは言え、こちらも諸説あり、現在の日本で流通している長芋は日本発祥の可能性もあるそうです。

 これから書いていく話は、飲み屋で働いていた時の話です。

 元々は、パチンコ店で働いていて、途中から居酒屋とカラオケ屋の合わさったお店に移動となったのです。

 その当時の店長は、僕がそのカラオケ店へ移動してからすぐに退職してしまいました。

 

 そこから色々あって、僕は店長でもなく、調理に関する知識も何もない状態でありながら、店長業務やらを色々とやっていくことになりました。

 お店のメニューを定期的に変えていくなかで、『山芋の短冊』なんてのも追加しました。

 山芋を仕入れて、皮を剥いて短冊状に切っただけというものです。

 それと別の器に、希釈用のそばつゆを、原液のままわさびを添えて出します。

 お好みで、わさびを混ぜて下さい、という意味合いで添えています。

 

 サラダみたいなもので、特別に売れ筋にならなくても良いものでした。

 この山芋の短冊が、たまにツボに入るお客さんがいたのです。

 とは言っても、僕も美味しいと思うからこそ、メニューに組み込んだのですけどね。

 

 はじまりは、十人くらいの大学生達の宴会で、一人でこればかり10回ほど注文してくれる人がいました。

 まわりから「どんだけ山芋食うんだよ」と笑われながら、「これは美味いと」と繰り返し御代わりしてくれたのです。

 それからたまに、1度に4個の注文を受ける時がありました。

 親子4人の家族で、お店に来る度に、1人1個として4個の注文を必ずしてくれるのです。

 そんな感じで、たまにツボに入るお客さんがいたのです。

 

 山芋の短冊なんて、たかが切って並べるだけの料理です。

 その山芋だって、近所のスーパーで買えるものです。

 それでも「美味しい」といって、好んで注文してくれる人達を見て、とても嬉しくてありがたい気持ちになったのです。

 

メニューのなかでは単価の安い部類のもので、たまに集中して売れたからといって、目に見えた売り上げにはなりません。

 会社の上司達も、この山芋の短冊に限らず、簡単な作業で単価の安い料理を馬鹿にしてきました。

 単価の高いメニュー構成にして、もっと売上を伸ばしなさい、と言いたい訳ですが。

 「こんなものを、わざわざ店にきて注文して、美味いとか言ってるのは…」

 などと言ってきます。

 上司達がこういった発言で、僕の仕事や店に来るお客さんを見下した発言を繰り返してしまうのは、色々と状況もあります。

 上司達の仕事はパチンコ店の店舗管理が中心で、客単価もパチンコ店とカラオケ店では、20倍くらい違うのです。

 パチンコ業界に様々な規制がかけられていき、多くの店が年間何千店舗と潰れている時期でした。

 僕のいた会社のパチンコ店も、毎月継続して売上げを落とし、社長に怒られ続けています。

 そういう時期で、飲食店で働いた経験もない幹部達だから簡単に考え、「飲食店の経営なんか、バカでも出来る」と悪意を持った言葉で批判してくるのです。

 

 それでも僕は、こんな風に少数でもお客さんが喜んでくれて、そこに売上が繋がることこそ、勤めていたカラオケ店の店舗管理には大切な事だと考えます。

 これは店舗管理の問題だけではなくて、絵を描いて誰かに見て貰う行為にも通じるもので、上司と揉めても、僕はこの考えかたを捨てることは出来ませんでした。

 

 こんな風に、会社にいると色んな考えに揉まれるわけです。

 ちょっとした思い出話でした。